[ESSAY] ライブドアM&A騒動とは何だったのか
「A−BOYの憂鬱」−ライブドアM&A騒動とは何だったのか−
あれほど喧(かまびす)しかったライブドアのM&A騒動だが、今のところフジテレビジョンとライブドアの資本・業務提携とやらで大筋合意して落ち着いてしまった。経済オンチの筆者にはよくわからないが、結局のところライブドアとフジテレビジョンは痛み分けで、得をしたのはリーマンブラザーズと村上ファンドとSBI、ということのようだ。
しかしこの問題については、秋葉原で青春を過ごし、現在IT業界に身を置くものとして言いたいことがあるのでこの際書かせてもらう。
そもそもライブドアというのは堀江貴文(以下ホリエモン)が学生時代に起業したホームページ制作会社のオン・ザ・エッヂが始まりで、途中で無料ISPのlivedoorの事業を買い取ってから、株式会社ライブドアに名前を変えて、当初はこのlivedoorポータルを中心に展開していた。この無料ISPというビジネスはハイパーネットという会社が発明したビジネスモデルをホリエモンが頂戴しただけだから、IT系の筆者としてはちっとも感心しなかった。私は当時、パシフィコ横浜で開催されたニュービジネスメッセに行ってハイパーネットのブースに注目していたのだからなおさらだ。
ときにホリエモンといえば、アジアングルーヴ社長の孫泰蔵がライバルとしてしばしば取り上げられる。孫泰蔵はホリエモンと中学のとき同級生で、東京大学に進み在学中に企業したというところまでそっくりな企業家だ。私はかつて居酒屋で孫泰蔵氏にご相伴を預かったことがあるのだが、ソフトバンク孫正義の実弟でありながら自身でベンチャー企業を設立しヒット商品を開発し、ビールを飲めばジャズを語る気骨の人であった。私としてはマネーゲームにうつつを抜かすホリエモンより、俄然、孫泰蔵氏に肩入れしてしまうのはいた仕方がない。まあ、ひょっとすると氏に飯を奢ってもらったのが嬉しいだけなのかもしれないが。
ところで「LINDOWS(リンドウズ)」というOSをご存知だろうか。これは私もサーバーを構築するときにしばしば使うLinuxというOSがあるのだが、そのとっつきにくいインターフェイスにまるでWindowsXPのようなGUIを乗せて、Windowsアプリケーションが動作するエミュレータを備えたという、Linuxユーザにとっては実にわくわくするようなOSであった。しかしこのLINDOWSは2年ほどまえにライブドアが日本版を出したのだが売り上げが低迷して、今はその噂すら聞かない。
「Opera」というブラウザーを使ったことがあるだろうか。ノルウェーのソフトハウスが開発した実に軽快なタブ切り替えのブラウザーだ。しかしこのソフトも去年からライブドアが日本版を販売しているのだが、日本ではいまいち振るわない。むしろNetscape後継ブラウザのFireFoxにシェアが押されているほどだ。
ライブドアよ「もっとまじめに仕事をしろ」、と声を大にして言いたいが、世のメディアでは買収防衛やら法廷闘争ばかり書いて、こういうことは書いてくれない。経済問題よりもそんなことのほうが気になってしまうのが秋葉人の悲しい性である。SkypeやTurboLinuxもライブドアが販売しているが、「LINDOWSの二の舞」にならないことを切に願っている。
(ウエケン)